亜急性甲状腺炎のパンフレット　
亜急性甲状腺炎について
甲状腺の腫れとともに痛みがあるので、非常にわかりやすい病気です。甲状腺の腫れは、全体に腫れて痛むこともありますが、たいていは左右どちらか１カ所が硬く腫れ、押すと痛みがあります。ときには、触ると飛び上がるほど痛いこともあります。耳の後や奥歯の痛みとして感じることもあるので、耳や歯の病気と勘違いされることもあります。５人に１人ぐらいは、37〜38度の熱が出て、喉が痛くなるので、風邪と思い、内科や耳鼻科を受診されます。痛みと腫れの部位は、しばらくすると左右へと移動することがあります。
甲状腺の機能亢進を伴うことが少なくありません。そのためバセドウ病と同じように動悸や息切れ、発汗、倦怠感などの症状が現れますが、長期に続くことはありません。「亜急性」というのは、急性よりは長く続くという意味です。慢性化することはありません。
30〜40歳代の、女性に圧倒的に多い病気です。亜急性甲状腺炎の原因ははっきりしませんが、よく鼻やのどの炎症に続いて起こることがあります。そこで、ウイルスが原因ではないかと言われています。季節的には、夏に多いのですが、寒い時期にもみられます。

【亜急性甲状腺炎の検査と治療方法】
炎症によって赤沈値が異常に低下するので、検査ではこれが決め手になります。その他、CRPの亢進、サイログロブリンの増加、甲状腺ホルモンが一時的に高値となることもあります。
治療は、対症療法となります。軽症例はアスピリン程度の非ステロイド系消炎鎮痛剤で対処できます。ひどい時は副腎皮貿ホルモンが特効薬で、非常によく効きます。服用した翌日には、痛みもケロリと治り、熱も下がります。すぐに服用をやめてしまうと、ぶり返すことがあるので、6週間から3ヶ月ほどかけて様子を見ながら、徐々に薬の服用量を減らしていきます。10人中2〜3人は、薬を減らして行くときや中止した後にまた痛くなることがあります。そのときは、薬を増やすかまた飲み始めます。無治療でも数週から数ヶ月で自然に治る性質の病気ですから、こじれて慢性化することはありません。一旦治ると、二度とかからないと考えられていましたが、100人中5人は、またかかることが分かりました。症状が激しい時期は、なるべく安静にして入浴も控えた方がよいでしょう。食べ物はとくに制限はありません。